那覇空港近く!歴史ロマンあふれる豊見城市
- 掲載日:
- 2024.04.10
41、それは沖縄県にある市町村の数です。
本連載「おきなわ41物語」では、沖縄にある41市町村のイマの魅力を現地ライターが独自取材してお届け。
地元民しか知らない地域ならではの魅力や穴場スポット、とっておきの寄り道グルメなど、沖縄をもっともっと好きになってしまうような、唯一無二の旅のアイデアをご紹介します!
41の物語とともに、新しい沖縄の魅力を再発見してみませんか?
今回訪れたのは、那覇空港近く!歴史ロマンあふれるまち「豊見城市」
那覇市に隣接し、近年新たな観光スポットが増え続けている「豊見城市(とみぐすくし)」。近年は土地開発が進み、映像表現と空間演出を駆使した新しいカタチの水族館「DMMかりゆし水族館」や、アイランドリゾート施設「ウミカジテラス」、アウトレットモール「あしびなー」などを中心に新たな観光施設が連なり、観光客や市民が集うスポットとなっています。
Index
Access|豊見城市までの行き方
豊見城市は沖縄本島南部の那覇市に隣接しており、那覇空港から車で約15分ほどの距離にあります。
interview |「豊見城市」をよく知る住民に聞きました!
那覇市に隣接し、近年新たな観光スポットが増え続けている豊見城市。
そんな豊見城市の定番スポット紹介だけでなく、まだあまり知られていない豊見城市の魅力や、観光スポットとして名高い有名な場所でも「そんな楽しみ方があったんだ!」とわくわくしながら旅できるニューコンテンツをご紹介します!
今回は地域を知り尽くしている豊見城市在住の方々に、こんな質問をしてきました。
この問いに答えてくれたのは、豊見城 龍船協会 事務局長の赤嶺 秀義さん。
「今でこそ土地開発が進み、ショッピングセンターやビーチが建って観光客や地元民が憩うにぎやかなエリアとなりましたが、実は豊見城市はロマンス的な逸話が複数ある歴史的にも趣深い場所なんです。
その土地にある伝説や逸話を紐解きながら、地元のごはんを食べ、自然に親しむと思い出もひとしお!
きっと今までと違う観光の形をみなさんにシェアできると信じています!」と語る赤嶺さん。
では、赤嶺さんが語る豊見城ヒストリーと共に巡る豊見城観光にお供してみましょう!
①ヒストリーと巡る豊見城観光|子宝祈願は石投げで
戦前より、地元民が子宝祈願の願掛けのため訪れていたといわれているスポット「子宝岩(通称:イシイリー)」。”イシイリー”とは、石入れのことで、子宝岩の頂上付近にあるくぼみのような穴に石を投げ入れると、子どもを授かると伝えられていました。また、岩には上下2つの穴が開いており、上に入れば男の子を、下は女の子を授かると信じられているんだとか。そんな信仰が伝わるスポットですが、戦後米軍によって破壊されてしまいました。しかし、2015年に豊見城市が「歴史や文化が後世にも伝わるきっかけになれば」と、子宝岩を復元したそうです。
\併せて楽しみたい!/豊見城市でのとびっきり体験
記憶に残したい特別な願いを泡盛に込めて
業界初の自社手作り”かめ”で寝かせた古酒が自慢の酒造所「忠孝酒造」では、古酒の預かりサービスを行っています。今日という記念の日に、想いをも熟成させながら、指定した特別な日にまた改めて泡盛をお届けしてくれますよ。
子宝祈願の願いを込めて、お好みの泡盛をタイムカプセルのように預けてみるのもおすすめです!
②ヒストリーと巡る豊見城観光|恋愛劇の舞台となった地
次にご紹介するのは、「平敷屋朝敏生誕三百年記念顕彰碑」と彼が描いた男女の恋愛を題材とした組踊「手水の縁」について記した石碑です。
数多くある組踊の演目の中、唯一の恋愛物語である「手水の縁」で平敷屋は、ここ瀬長島を恋を語る理想郷として語っているんですよ。
龍船協会の赤嶺さん
和文学者であり組踊演目「手水の縁」の作者として名高い、平敷屋朝敏(へしきやちょうびん)の誕生300年を記念して「手水の縁」にゆかりのある瀬長島に建てられたこちらの顕彰碑。この石碑には「手水の縁」の中の一節”語て呉れ恋ひ渡ら 浮世鳥鳴かぬ島のあらは(さぁ一緒に、恋をしに渡ろう。この世に明日の始まりを告げる鳥がいない島があるなら永遠に愛を語り合えるので、そういう島へ行こう)”と記されており、平敷屋がこの瀬長島を理想郷として見立てて歌ったと伝えられているそうです。瀬長島は古来より、1719年に現地へ訪れた中国の冊封副使に景観を讃えられ、1936年には沖縄八景の一つに数えられるほどの景観地として名高かったんだとか。
\併せて楽しみたい!/豊見城市でのとびっきり体験
「平和」が花言葉のさとうきび色にふたりの縁も染めあげて
常夏沖縄の太陽のもとで育ったさとうきび(ウージ)の葉と穂を煮出して作った染料で染める「ウージ染め」。染め体験で世界に一つだけのオリジナル品を作れば、ふたりの仲も深まるはず。
③600年前よりハーリーと雨乞いが行われてきた、はじまりの場所
こちらは、豊見城城址公園内(豊見城グスク)にある「豊見瀬御嶽(とみせうたき)」!
約600年前の記録には、ここで竜舟競渡(ハーリー)や雨乞いなどの儀式が行われていたとあるんです。今でこそ有名となった沖縄のハーリーですが、発祥の風景を知るとより面白いと思います!
龍船協会の赤嶺さん
ハーリー(竜舟競争)と雨乞いの祭事の際に参拝されていたこちらの「豊見瀬御嶽」。
そもそもハーリーとは、約600年前に南山王が、留学先の中国から帰国後に龍船を作り、豊見城市の漫湖に浮かべて五穀豊穣を願い、競争をしたことが始まりと言われています。かつてより、旧暦の5月4日に那覇・泊などで行われるハーリーの前には、各ハーリー船が漫湖に浮かぶ小島に漕ぎ入れ、「無事ハーリー儀式がうまくいくように」とこの御嶽に拝んでいたんだとのことです。また、干ばつに見舞われた際などにも、那覇の王府に努める役人らとこの御嶽で雨乞いの儀式を行っていたと伝えられています。
\併せて楽しみたい!/豊見城市でのとびっきり体験
憧れの沖縄式ドラゴンボート「ハーリー」に乗船!
ハーリー発祥の地で、ハーリーの歴史を学び、実際に漕ぐプログラムです。沖縄で600年前から続く伝統龍船のレースを体験し、沖縄の透き通るような美ら海でハーリー競漕にチャレンジしてみませんか?
model course| 紹介スポットも回れる、とっておきの旅プラン
【豊見城市】心ときめくヒストリーと共に巡る追想の旅
歴史好きやカップルにぴったり!
歴史ロマンあふれる豊見城市を巡る1泊2日の旅!
豊見城市の魅力は、歴史的な背景と那覇空港から車で15分の好立地であるにも関わらず、海も山も文化体験アクティビティも楽しめるというそのコスパの良さ。アウトレットやショッピングモールなどお土産購入にぴったりな都会的な一面もありながら、昔より様々な文献に記されているほどの自然溢れる景観地でもあります。このように見どころの多い豊見城市を、カップルやご友人らと楽しめる1泊2日の旅をご提案します。
comment|一般社団法人 豊見城市観光協会からのメッセージ
魅力満点の豊見城市へいらっしゃい!
沖縄本島南部に位置する豊見城市。近年「那覇空港から一番近いリゾート地」として人気のエリアですが、実は歴史や文化を多く有する興味深い場所でもあります。特に、琉球神話の神アマミキヨが降り立ったという伝説のある「瀬長島」、琉球王国時代に建設された石造りの橋の一部「真玉橋遺構」や県内最大級の木造建築「忠孝蔵」、世界的にも珍しい渡り鳥クロツラヘラサギを観察できる「漫湖(ラムサール条約にも登録)」、毎年7月末に開催される「豊見城ハーリー大会」は必見!
また、豊見城市は「マンゴーの里」としても知られており、6月~8月は道の駅豊崎のJAおきなわ菜々色畑にマンゴーがズラリと並びます。同道の駅てぃぐま館では、豊見城市の特産品でもあるサトウキビの染め物「ウージ染め」の染め・織り体験もできます。
これから夏本番!是非、豊見城市に遊びに来てくださいね!
編集後記|おきなわ物語編集部
いかがでしたでしょうか?
那覇空港からもアクセスしやすく、アウトレットモールや近代的な水族館など観光施設が充実しており都会的なイメージを持っていましたが、取材を通してハーリー発祥の歴史深い町であり、古来より歌人などから景観地として称えられているという一面も知ることが出来ました。これを多くの観光客の方々にも体験してもらいたいと思い、豊見城市に伝わる歴史的スポットや豊見城市を舞台に描いた組踊劇などを紹介しています。そんな歴史ロマンあふれる豊見城市で、大切な方と想いを馳せながら思い出深い旅を楽しんでいただきたいと思います。
最初にご紹介するスポットは、瀬長島にある安産祈願のパワースポット「子宝岩」です。
こちらは、一度破壊された霊岩を豊見城市が”歴史や文化を知ってもらうきっかけになれば”と2015年に復元したものなんですよ。
龍船協会の赤嶺さん