沖縄の花のこと
沖縄は花たちのパラダイス?
花にとって沖縄はどのような特性を持つ場所なのか、仲井間さんに伺いました。
「沖縄は、“亜熱帯気候”であると耳にすることが多いと思いますが、厳密には“亜熱帯海洋性気候”。
年間平均気温が約23度という暖かさに加え、雨もよく降るため、湿度も高くなります。
これは植物にとっては育ちやすい環境と言えます。沖縄と世界で比較してみると、同じ緯度は砂漠やサバンナばかり。
地球規模でみても大変珍しいこの土地で多くの貴重な生物が育まれ、たくさんの花を楽しむことができます」
沖縄と本土の気候を比べがちですが、砂漠との比較は驚きです。
「そうですね。沖縄は暖かいだけではなく、きちんと冬もあり、風も強いです。熱帯からやってきた花にとっては、沖縄の冬を乗り越えるために、寒さや風に耐えられるような工夫(進化)が必要だったことがみられます」
南国・沖縄の花の特徴
沖縄の花は、色が鮮やかで、香りも強いという印象がありますが、実際はどうでしょうか。
「色そのものは、もともと花が持っているものですが、紫外線が強い場所では、花が自らの身を守るために色がしっかり出てきます。そのため、沖縄では色鮮やかな花が多く見られますよ」
香りについて科学的なデータはありませんが、仲井間さん自身の感覚として沖縄の花の香りは強いと感じることがあるようです。
「ドラゴンフルーツやサガリバナなど、夜に花が咲き、香りを楽しめる花が沖縄には多く存在します。
これらはもともと熱帯の植物で、高温の昼間は休憩をし、気温が下がる夕方ごろから活発に動き出す生き物の活動にあわせて、夜に花を咲かせるのです。夜は暗いため、私たち人間の視覚は奪われます。
代わりに嗅覚が研ぎ澄まされるため、花の香りが強く印象に残るのかと考えています」
沖縄の花を楽しむベストな時期
一年中、暖かな沖縄。花の見頃はいつでしょうか。
「冬の寒さがやわらいだ頃から梅雨入りするまでの穏やかで過ごしやすい「うりずん」と呼ばれる時期は、植物が生き生きし始めます。夏は紫外線が強く、葉色の美しいカラーリーフが鮮やかに色づき、夏ならではの光景が見られますよ。
沖縄の三大名花であるサンダンカは、品種改良が進み、1年中元気に咲いています。ハイビスカスやブーゲンビレアも年間を通して楽しめますが、日が短くなると花付きがよくなる性質があるため、10月~3月までが見頃です。
種類によっても花の見頃は変わります。植物園などで見る花のほかにも、道端に咲く何気ない花や家の軒先に植えられている花など、様々な花を楽しんでもらいたいですね」