History of OKINAWA 〜沖縄本土復帰50周年特集〜
OKINAWAから沖縄へ。
1972年5月15日に沖縄の施政権が日本に返還され、2022年で50周年を迎えることとなりました。
復帰前後で人々の暮らしはどう変わったのか、当時の写真や施設、スポットを通して50年の歴史を振り返ります。
皆さんは「復帰っ子」という言葉を知っていますか?
沖縄が日本に復帰した1972年に生まれた人たちのことを指します。
今年、復帰50周年を迎えるにあたって、県内外でいろんなイベントや催し物が予定されていますが、
その中でも注目を集めているのが、お笑い芸人ガレッジセールの川ちゃんこと川田広樹さんと
同級生を中心に結成された「結515プロジェクト」です。
こちらでは川田さんのインタビューや、「結515プロジェクト」代表や理事による座談会をお届けします!
お笑い芸人「ガレッジセール」
「結515プロジェクト」代表理事
川田 広樹さん
1973年2月1日生まれ。1995年、同じ沖縄県出身のゴリさんとガレッジセールを結成。テレビや舞台でお笑い芸人として活躍しながら、俳優としての顔も持つ。
うちなんちゅ(沖縄の人)としての
誇りを胸に。
カッコいい大人として、子どもたちの
見本になれたら嬉しいです。
復帰っ子と呼ばれて
「復帰っ子、入学おめでとう!」「復帰っ子、卒業おめでとう!」「復帰っ子、成人式おめでとう!」という感じで、僕たちは沖縄が本土復帰した昭和47年度生まれとして「復帰っ子」って何かにつけて呼ばれています。沖縄は終戦を迎えてアメリカ世(アメリカ統治時代)、本土復帰、そして今がある。沖縄本土復帰50周年と戦争は切っても切り離せないもので、沖縄の歴史をより詳しく知りたいなと思うようになりました。プロジェクト代表の比嘉と一緒に伊江島※のオジーやオバーから戦争体験を聞く機会があって、話を聞いてビックリしちゃってね…。これは子どもたち、孫たち、“これからの世代”にも聞かせないといけないなと思って、ドキュメンタリー映画をつくろうという動きになったんです。
※東洋一の規模の飛行場があった伊江島は沖縄戦の激戦地の1つであった。
僕たちにできること
「結515プロジェクト」をとおして、実は僕のオジーの知らなかった一面を家族に教えてもらったんです。戦争で死んだとは聞いていたけど、戦争に行く前に家族の顔を見にきたんだよという話をしてくれて。伊江島でも、オジーやオバーに「話を聞いてくれてありがとう」って感謝されてね。50歳という今だからこそ取り組めたと思います。20歳の頃なんて、そんなこと思わなかった(笑)。僕たちの人生の節目が、沖縄の節目。年を重ねるごとに沖縄のために何かできないか考えるようになりました。同級生から聞いた「子どもの貧困」は沖縄が抱える問題のひとつ。せっかくプロジェクト名に「結」ってついているし、子どもたちのためにできることとして映画の収益を寄付しようと計画しています。みんな、子どもたちのためにという思いは強いですね。
大好きな沖縄とふれあう機会を
つくっていきたい
NHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」で沖縄好きになったとよく言われますが、このドラマは沖縄本土復帰30周年のタイミングだったんですね。50周年である今年は「ちむどんどん」が放映されます。この前、主演の黒島結菜さんと仲間由紀恵さんとご一緒するシーンがあったんですが、沖縄方言が自然に出てきてねぇ。とても心地よい空間でした。ドラマをとおして、沖縄の空気を感じてもらいたいです。安心して旅行できるようになったら、ぜひ沖縄のいろんな側面を見に来てほしいですね。辛い過去があったけど、沖縄の人たちは「ひやみかち※の精神」で立ち上がってきました。ご先祖様、先輩方が作ってきた歴史を知ることで、より沖縄の良さを知ることができると思います! ※沖縄方言で「えい!と気合を入れる」こと。
代表理事
比嘉 盛也さん
株式会社プランニング沖縄
代表取締役
理事
玉村 剛さん
一般社団法人 那覇市観光協会
事務局次長兼事業課長
理事
新井 崇史さん
有限会社のれんずプロ
取締役社長
理事
上原 康弘さん
那覇大綱挽
若狭・松山実行委員会 実行委員長
オジーが教えてくれた「逃げるは、生きる」
比嘉さん:「結515プロジェクト」結成のきっかけは、伊江島で一人のおじいさんの戦争体験を聞いたことかな。コロナ禍での小学生向けオンライン離島体験学習の仕事を受けたんだけど、伊江島って沖縄戦でたった6日の間に2人に1人が亡くなった島でね。オジーが僕を見て「生きるは逃げるだよ」って。とても衝撃を受けてね。そしてオジーに当時の話をできる人を集めてもらって、座談会を映像化したんです。参加してもらった方々に共通していたのは、親が逃がしていたこと。16歳以上は看護婦か兵隊になるって決まっていて、逃げるのも逃がすのも犯罪。でも逃がされて生き残っている人がいて、今に命がつながっている。ご家族の方もね、初めて聞いたって泣いちゃってさ…。
比嘉さん:オジーやオバーは、逃がしてくれた親を思って言えなかった。こういう話を後世に残さないとダメだなって思って、川田と2人でできることをしようと始めたら、みんなが賛同してくれたんだよね。
新井さん:「結515プロジェクト」のコンセプトで、3つのつなぐがあるよね。
比嘉さん:命・文化・歴史ね。プロジェクトをとおしてみんながつながることで、想像以上の効果が出ている。新井さんがHPやSNSで活動内容をしっかり広めてくれているからだよ!人が集まれば知恵も集まる。プロジェクトテーマ「結どぅ宝」、結ぶこと、つながることが本当に宝だなぁと実感しているね。
沖縄の宝である子どもたちのために
新井さん:元々のきっかけは「5月15日にお祝いをしましょう」って。で、お祝いをするなら、何か意味のあることをしたいよねってなったよね。
一同:
そうそう!
比嘉さん:
なんで復帰しないといけなかったのか、そうすると戦争に行き着くんだよね。ただ、ここは一旦50年で区切りをつけて、これからは沖縄の未来のために。そのために今、何ができるかってなると、子どもたちを大切にすることなんだよね。子どもは未来の希望。でも現状は、義務教育の子どもたちが学校給食を中心とした食生活を送っているのが3割というね…。ウソだと思うけど、僕たちが知らなかっただけ。「子どもの貧困」って結局は親や家庭の貧困でもあるし、今後の目標として子どもたちのためになることをやっていきます!
玉村さん:
子どもたちもいろんな人たちと交流することで知識や経験が増えると思う。このおっさんたちが親代わりでもいいよね!
比嘉さん:
5月15日を節目に、それからは子どもたちにいろんな体験をさせて、可能性を広げたい。向こう10年間は、毎月なんらかの体験教室やワークショップをやろうと取り組んでいます!自分たちも子どもがいるから、親として、大人として気持ちが引き締まるよね。
5・15はみんな笑顔で祝おう!
比嘉さん:
玉村さんは40年も観光関連の仕事に携わっているから沖縄の先を見ているよね。5年も前から本土復帰50周年に何かしたほうがいいよって言ってくれていて。そういったことが頭の中にあったから、今回スムーズにアクションに移せたんだよね。
新井さん:
5月15日にむけて会場もおさえて、出演者もおさえて…。
比嘉さん:
14日は子ども向け体験イベントを、15日は伊江島での戦争体験談をもとにした映画のプレ試写会とトークショーを予定。乾杯のギネス挑戦も計画しているし。県人会や企業とかも巻き込んでいて、今からワクワクしている。大変だけど(笑)。
玉村さん:
これからの50年の始まりだしね。
比嘉さん: そうだよね。ムーブメントとして続けないとね。最初は堅苦しく会議を開いていたけど、東京の活動仲間がさ、飲み会でビール2杯我慢して千円ずつ募金する気軽さでいいじゃんって。あ、なるほどって(笑)。それで子どもたちのためになるなら、協力してくれる人いっぱいいると思う。沖縄の第一線でがんばる大人たちが集まってアベンジャーズ結成したら熱いよね!
プロジェクトの今後に向けてー
比嘉さん:
このプロジェクトの後継者が出てくるまで活動は続けたいな。これを機に、大人も子どももみんなつながってムーブメントになればもっと素敵な沖縄になるはず!
玉村さん:
これを続けられるように健康に!健康があってこそいろいろできる。そして、現在那覇市を中心に置かせてもらっている募金箱を全島に広めたいね。いや、広めます!
新井さん:
僕は高校から本土に行ったから、沖縄に戻ってきて同級生がいなかったんだよね。新聞でプロジェクト結成の記事を見て、知り合いが関わっているから紹介してもらって。クラスメイトができた感じで嬉しい。今後は老後にむけた活動として取り組もうかと(笑)。次の50年につながるよう組織化にがんばりますよ!
比嘉さん:
このメンバーは、誰一人欠けてもだめ!
上原さん:
子どもの頃から旗頭を持っている自分としては、文化や歴史を子どもたちへ継承する大切さを感じています。成長した子どもたちが地元を誇りに思い、また地域に戻ってこられるよう伝統を守っていきたいですね。