連載・おきなわ41物語/火山活動の痕跡が残る島 粟国島

掲載日:
2023.06.20

41、それは沖縄県にある市町村の数です。
本連載「おきなわ41物語」では、41市町村のイマの魅力を現地ライターが独自取材。

地元民しかしらない地域ならではの魅力や穴場スポット、とっておきの寄り道グルメなど、沖縄をもっともっと好きになってしまうような、唯一無二の旅のアイデアを紹介してまいります。

41の物語とともに、新しい沖縄を再発見してみませんか?

今回訪れたのは、火山活動の痕跡が残るダイナミックな島「粟国村」

沖縄本島の那覇から北西約60kmのところに位置し、外周約12㎞の粟国島。
数百万年前の火山活動による堆積物がベースとなってできているため、沖縄県内によく見られるサンゴ礁が発達してできた島とは一風違った、独特な景観を随所に見ることができます。
島全体の地形も、西側の海岸線は高い断崖になっていますが、東部に向かってなだらかに低くなっており、東側の海岸線は発達したサンゴのリーフに囲まれた砂浜が広がるという、複雑な形をしています。集落には沖縄の原風景ともいうべきフクギの防風林や、石垣に囲まれた赤瓦の民家が残り、古き良き沖縄の雰囲気を感じさせます。

INDEX

| Access |粟国島までの行き方

粟国島へのアクセスは、フェリーと飛行機の2種類あります。

フェリーの場合
那覇泊港からニューフェリーあぐにが毎日出航します。所要時間は約2時間です。

航空機の場合
那覇空港から粟国空港へ、1日1往復 週3往復程度(月曜日・水曜日・土曜日)所要時間は約30分です。

*運航日及び運航時間については、粟国村における行事等に合わせて設定することとしています。

*運航機材の点検整備のため、60日毎に点検整備が必要で2週間程度の運休期間があります。

問い合わせ先:098-859-5531

| interview |新たな発見がある、おすすめの目的地を教えてください

粟国島は、火山活動の痕跡が残る島ということで、随所に火山活動によって形成された痕跡を見ることができます。島の南部にある「ヤマトゥガー」や「ヤヒジャ海岸」では、黒や赤、茶色や白といったむき出しの地層が見られます。また粟国島は、池や森、砂浜や断崖といった自然環境が豊富で、鳥たちの生活地として最適な「野鳥の楽園」といえます。が、今回は、ガイドブックに載っているような有名なところではなく、まだ誰も知らないような場所や、有名な観光スポットでも「そんな楽しみ方があったんだ!」という驚きのある場所を紹介したい!今回は地域を知り尽くした地元のみなさんに、ズバリこんな質問をしてきました。

「新たな発見がある、おすすめの目的地や新しい楽しみ方を教えてください」

この問いに答えてくれたのは、元粟国村地域おこし協力隊の宮本 真理さん。宮本さんは、沖縄の離島をほぼ制覇した自称「島マニア」。粟国島は、知名度は低いがここにしかない魅力的な観光資源があり、島の狭さが心地よいところと語ります。そんな宮本さんが教えてくれたのは、船でも飛行機でも行くことができる意外に便利な島の一面や、観光客が少ないがゆえに可能になる島の楽しみ方、沖縄で唯一粟国島だけで見られる風景の数々でした。さっそく紹介していきましょう!

宮本 真理さん

Bakery cafe AGUNI_FAN 店主

東京都生まれ。2016年春、粟国村地域おこし協力隊として移住。3年の任期を満了した後、空き家を改装してベーカリーカフェを開業。粟国島ライフをSNSや各種のメディアを通じて、ありのままに発信中。これを見た人が「自分にもできるかも」と感じて、新たな移住者を呼び込めたり、粟国島出身の若者が島に戻ってくるきっかけになったらいいなと語る。「何だって一度やってみないとわからないよ」をモットーに粟国島の盛り上げに奮闘中。

Bakery cafe AGUNI_FAN

島で唯一!焼き立てパンが食べられるベーカリーカフェ!

「粟国産黒糖」や「粟國の塩」といった粟国島定番の特産品をパンや焼き菓子やデザートに積極的に取り入れたパン屋さん。店内にはくつろげるソファーやドリンク類もあるのでイートインもできます。粟国港にも近いのでお土産用にテイクアウトも可能です!
【住所】粟国村字浜109
【営業時間】11:30〜13:30/15:00〜18:00
【定休日】不定休
【電話番号】 090-4432-8438

公式Instagram

おすすめ①

充実したアクセス!飛行機とフェリーで2度楽しめる!

おすすめ②

観光客が少なめなので、どこへ行っても貸切気分で楽しめる!

おすすめ③

沖縄で唯一粟国島だけで見られる風景&最新スポット
 

おすすめ①充実したアクセス!飛行機とフェリーで2度楽しめる!

最初のおすすめポイントは、充実したアクセスです。以前は、粟国村へのアクセスは船が中心でしたが、2021年7月28日から飛行機の定期便が再開しました。天候により船が欠航することもあり、粟国島にとっては飛行機の定期就航は待ち望んだニュースだったようです。では、実際に飛行機とフェリーを利用して粟国島を往復した筆者がその様子をご紹介したいと思います。

往路:飛行機(那覇空港⇒粟国空港)

■運行日時
1日1往復 週3往復程度(月曜日・水曜日・土曜日)
那覇空港発 9時15分 粟国空港着 9時45分
粟国空港発 11時15分 那覇空港着 11時45分
*運航日及び運航時間については、粟国村における行事等に合わせて設定することとしています。
*運航機材の点検整備のため、60日毎に点検整備が必要で2週間程度の運休期間があります。
*問い合わせ先:098-859-5531
■運賃(片道:税込)
大人(満12歳以上)8,000円
小人(満3歳以上12歳未満)4,900円
■予約
第一航空株式会社那覇営業所(営業時間09:00-17:00)
〒901-0142 沖縄県那覇市字鏡水150
那覇空港ビル国内線1階(近畿日本ツーリスト跡)
電話番号 098-859-5531

復路:フェリー(粟国港⇒泊港)

■運行概要
1日1往復毎日
所要時間約2時間
定員400人 
泊港発 9時30分
粟国港発 14時00分
■旅客運賃(税込)
大人片道料金(中学生以上)3,470円
大人往復料金(中学生以上)4,620円⇒往復割引お得です。
小人片道料金(小1 ~ 小6​​​) 1,740円
小人往復料金(小1 ~ 小6​​​) 2,320円⇒往復割引お得です。
■問い合わせ
那覇船舶連絡事務所
那覇市泊3丁目25-1 とまりん1階
電話番号 098-862-5553
ファックス番号 098-866-6847

Bakery cafe AGUNI_FAN  店主 宮本 真理さん

粟国村へのアクセスはいかがでしたか?
フェリーの往復料金が2023年4月から大幅に値下げされ、これによりフェリーがぐっと身近に便利になりました。一方、短時間で移動できる空の旅という選択肢もあるのはとても助かります。忙しい方や船が苦手な方も気軽に粟国島へ来ていただきたいと思います。ぜひ、移動中も空から見る島の全景、海から見る島の高低差をじっくり楽しんでくださいね!

Bakery cafe AGUNI_FAN 店主 宮本 真理さん

おすすめ②観光客が少なめなので、どこへ行っても貸切気分で楽しめる!

那覇泊港からフェリーで約2時間、那覇空港から飛行機で約30分の位置にある人口700人ほどの小さな島、粟国島。認知度がそれほど高くないので観光客もまばらで、日中車で走ってもすれ違う車は少なく、すれ違うのは人よりもウシさんやヤギさんの方が多い。そんな小さな島ですが、素晴らしい景観があちこちで見られる情報量の多い島です。つまり、島の魅力を貸切気分で楽しめる環境にあるのが粟国島なのです。では、「粟国島貸切感満載旅行」に出かけましょう!

貸切気分で楽しめるポイント①素晴らしい景観を思う存分撮影ができる!

粟国村観光協会 四方 正良さん

民宿のアルバイトを1年だけやって帰るつもりが、いつのまにか粟国村民になり14年経ちました。
写真が趣味なので、時間があれば粟国島の素晴らしい景観を撮りに出かけています。有名な観光地のように、人が映り込んだり、順番に並んで撮影したりすることがないので、好きな時間に絶好のポイントで思う存分撮影できます!
個人的には星空が好きです!是非粟国に来て、一緒に星空を観察して撮影しましょう!

粟国村観光協会 四方 正良さん

貸切気分で楽しめるポイント②誰もいないビーチを貸切でピラティス体験!

and SEA 粟国島 山口 めぐみさん

粟国島の好きなところは海が日常の中にあるところです。どこにいってもプライベート感があるので、おおらかな自然の中で、青い海、澄んだ空気、自然の音に包まれてピラティスを行うことができます。今回はビーチで行いましたが、粟国にある多くの絶景を活かして季節や時間帯、天気に合わせて場所を選びピラティスを楽しんで頂きたいと思っています。

and SEA 粟国島 山口 めぐみさん

公式Instagram

and SEA 粟国島

シュノーケリング&ピラティス体験

ここ粟国島では海が当たり前のように毎日色々な場面や風景に溶け込んでいる存在です。シュノーケリングやピラティスにて、この粟国島の海や空気に溶け込み、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか?

【電話番号】050-3576-0305

詳しくはこちら

貸切で楽しめるポイント③ゆっくりのんびりできる古民家一棟貸し「星のクラス」

『星のクラス』は、ゆっくりのんびりできる沖縄粟国村古民家宿で、一棟貸し一日一組限定です。古民家宿のある東地区は静かな集落にあり、風の音・雨の音・鳥の声・虫の声etc…粟国島の自然に囲まれた、ゆったりとした島時間を体感できます。

忙しい日常から離れて、落ち着きのある空間でプライベートなひと時が過ごせます。夜空の輝く星座たちに想いを馳せるのも乙なものです。お庭にはバーベキューや焚き火スペースがあり、ビール片手に楽しい時間を過ごしてはいかがでしょうか。

古民家一棟貸し「星のクラス」

自然に囲まれた古民家 1日36時間の島時間を体感

【住所】粟国村字東87番地
【電話番号】090-3795−8591

公式ホームページ

Bakery cafe AGUNI_FAN  店主 宮本 真理さん

どこへ行っても貸切感満載の粟国島!いかがでしたか?
観光客が少なめの島なので、渋滞もなければ、写真に他の人が映り込むことはめったになく、自分たちだけの惑星のような気がしてきます(笑)
風の音、鳥のさえずり、波の音、潮の香等々、都会にはない豊かさをここ粟国島で独り占めして欲しいと思います。

Bakery cafe AGUNI_FAN 店主 宮本 真理さん

おすすめ③沖縄で唯一粟国島だけで見られる風景&最新スポット

粟国島の島内では、随所に火山活動によって形成された痕跡を見ることができます。たとえば島の南部にある「ヤヒジャ海岸」や「東ヤマトゥガー」では、黒や赤、茶色や白といったむき出しの地層が見られます。
また、溶岩が冷えて固まった玄武岩や安山岩、火山灰が堆積してできた凝灰岩などが、長い年月をかけて侵食され、作り上げられた景観からは、ダイナミックな地球の息吹を感じます。

ヤヒジャ海岸

かつて粟国が火山の島であったことを証明する、たくさんの岩石や地層が見られるヤヒジャ海岸。粟国港から筆ん崎に向かって、玄武岩や安山岩などでできた黒っぽい地層から、白色凝灰岩でできた見事なまでの白壁と続きます。このような大規模な凝灰岩の地層が見られるのは沖縄で唯一粟国島だけ。崖の高さが数十メートルに及ぶ景観は圧巻です。

島の歴史を伝える大きな石水槽 トゥージ

かつて、水源の乏しかった粟国島(あぐにじま)では、トゥージと呼ばれる大きな石水槽に雨水を溜め生活用水に使用していました。トゥージはヤヒジャ海岸にある凝灰角礫岩をくり抜いて造られ、大きいものは約1t近くにもなります。その運搬方法は、船の帆柱を棒にして2艘のサバニで挟み、5~60人の大人たちが交替で約1km先の港まで運んだそうです。これほどまでに苦労して運び造られたトゥージは、生活を支える大切な財産として親から子へ代々受け継がれていたといいます。
島の先人たちの苦労と偉大さを実感できる歴史文化遺産です。

東ヤマトゥガー

島の南西部の海岸近くにある、巨大な岩を真っ二つに割ったような、幅約1メートルほどの隙間があいた通り道。その隙間を通り抜けると筆ん崎を望むことができる海岸にでます。そこには昔から水源の乏しかった粟国島で貴重な水源として活用していた泉があり、戦後、泉から湧く真水を溜める貯水タンクが作られました。その水を集落まで届けていた簡易水道施設跡が今も残っています。

粟国島オートキャンプ場

粟国島オートキャンプ場は、2021年7月に誕生した粟国島の最新スポットで、ひとりでも、家族でも、ゆったりと楽しめるウーグの浜を見渡すキャンプ場です。キャンプに必要な道具が一通り揃っているので、手ぶらで島に来てすぐにキャンプすることができます。バーベキュー用のセットや事前予約でテントセッティング込みのセットもあるので、気軽に利用できます。キャンプ体験を通じて、粟国島の美しい自然と島時間の豊かさを感じて下さい。

粟国島オートキャンプ場

粟国島の美しい自然と島時間の豊かさを感じることができるキャンプ場

【住所】沖縄県島尻郡粟国村字浜照喜名原3220番1
【電話番号】080-9853-7607(9:00~17:00)
【利用期間】通年(臨時休業あり)

公式ホームページ

Bakery cafe AGUNI_FAN  店主 宮本 真理さん

沖縄で唯一粟国島だけで見られる風景&最新スポットはいかがでしたか?
粟国島は数100万年前の火山活動によってできた島で、沖縄本島の成り立ちとは違う歴史があります。ここでしか見られない絶景や珍しい地層がみなさんをお待ちしています!

Bakery cafe AGUNI_FAN 店主 宮本 真理さん

| model course |紹介スポットも回れる、とっておきの旅プラン

今回ご紹介したスポットを楽しみながら粟国を感じられるモデルコースを作りました。

【粟国島】小さいけれど情報量満載!粟国島2泊3日の旅

雄大な自然が生み出した絶景や古き良き沖縄の風景だけでない情報量満載の旅

粟国島は那覇から北西約60㎞の海上にある周囲約12㎞の小さな島。高齢化も進み人口は減少傾向。でも、そんな粟国島に新しい息吹も芽生えています。県外出身者が定住して、ベーカリーカフェをオープンしたり、理学療法士の資格を活かしてビーチピラティス体験を始めたり、絶好のロケーションにオートキャンプ場が誕生したり。雄大な自然が生み出した絶景や古き良き沖縄の風景だけでない情報量満載の旅です。

モデルコースを詳しく見る

| 編集後記 |おきなわ物語編集部

今回の取材で初めて粟国島に。行きは飛行機で、上空から途中にある島々の美しさ、粟国島の全景を。帰りはフェリーで、海上から粟国島の高低差を見ることができました。
島内はレンタカーで移動しましたが、すれ違う車は少なく、主要観光スポットでも写真撮影に他の人が移り込むことはあまりありませんでした。一番多く遭遇したのは、ウシさん・ヤギさん・ネコさん・シロサギさん・・・こうなると、とても人恋しくなり、売店に立ち寄ったときに会った地元のおばあといっぱいユンタクし、昔の粟国島の生活の様子を教えてもらうことができました(笑)
そんな貸切感満載で地元の方と自然にお話したくなる粟国島で古き良き沖縄を感じてもらいたいと思います。
※ユンタクは沖縄の方言で、おしゃべりのこと。

| comment |一般社団法人粟国村観光協会からのメッセージ

一般社団法人粟国村観光協会

粟国島を見る・泊まる・体験する総合案内所

粟国村体験交流施設島あしび館のビジターセンター内にある粟国村観光協会は、粟国島を見る・泊まる・体験する総合案内所です。各種案内地図も用意されていますので、粟国島に来られたらまずお立ち寄りください。
※各体験メニューは事前予約制(希望日の3日前まで)になっております。

【住所】粟国村東1142
【電話番号】098-896-5151
【営業時間】8:30~18:00(夏季営業は19:00まで)

詳しくはこちら