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エメラルドグリーンに輝く澄み切った美ら海
サンゴ礁の間を熱帯魚が泳ぐ幻想的な海
透明度が高く、暖流の黒潮が流れる沖縄の海は、サンゴや魚など海の生物が生きるのに絶好の環境です。世界には600~800種類のサンゴが存在すると言われていますが、沖縄ではそのうちの400種類近くが確認されているそう。幻想的な光景を生み出すサンゴ礁の間を、カラフルな熱帯魚たちが泳いでいく様子は、まるで竜宮城のような神秘的な眺めです。
そんな沖縄の海を手軽に堪能できるのが、シュノーケルや体験ダイビング。ダイビングのライセンスを持っていなくても、美しい魚やサンゴと身近に触れ合えます。ビーチではジェットスキーやバナナボートといったマリンアクティビティも提供しているので、疾走感を求めるならそちらもおすすめ。のんびり気分で楽しみたい方には、シーカヤックやSUPも人気です。
また、水のきれいな沖縄の海では、貴重なウミガメも生息しています。ウミガメと一緒に泳いだり、時期によってはウミガメの産卵を観察できたりするのも、沖縄ならでは。冬場はザトウクジラが沖縄近海にやってくるので、大迫力のホエールウォッチングも楽しめます。
大自然の息吹を肌で感じる川遊び
カヌーやトレッキングで自然に親しむ
沖縄の水遊びというと、海のイメージが強いかもしれませんが、実は川にも魅力的なスポットがたくさんあります。沖縄県外のような大きな川はありませんが、滝が多いのが特徴で、変化のある風景が堪能できます。
そんな沖縄の川の中で、最長の長さを誇るのが西表島の浦内川。川沿いにはマングローブ林が広がっており、カヤックやカヌーなどの小型ボートで川を上れば、緑豊かな周囲の景色を間近に眺められます。マングローブの原生林は、沖縄本島北部の億首川や慶佐次川、中部の比謝川沿いにもあり、沖縄本島でも気軽に川遊びが楽しめます。
また、「やんばる」と呼ばれる深い森に囲まれた国頭村の比地大滝キャンプ場は、沖縄本島最大となる落差25.7mの滝を有するキャンプ場。比地川沿いには遊歩道が整備されており、キャンプ場から比地大滝に向けては、片道約40分のトレッキングコースとなっています。下流側には流れが穏やかなエリアもあり、子どもや初心者でも安心して川遊びができます。
ほかにも、ジャングルの中をダイナミックな滝が流れ落ちる大宜味村の「ター滝」や、全長300mと日本一短く、しょっぱい水が流れる本部町の塩川など、沖縄には個性豊かな川がたくさんあります。沖縄県外とはまた違った、独特の自然を体験してみてはいかがでしょうか。
原始の森“やんばる”とマングローブ林
多様な植物が自生する緑の森
沖縄本島北部には、沖縄の言葉で「やんばる(山原)」と呼ばれる深い森が広がっています。亜熱帯の照葉樹林であるイタジイが茂るやんばるには、絶滅の危機に瀕する種も含めて、1250種あまりの植物が自生しています。やんばるの中でも最北端に位置する国頭村には、心や体を癒す効果が実証された「森林セラピーロード」のひとつ「国頭命薬(ぬちぐすい)の森」があり、森の中をトレッキングしながら、ゆっくりとした時間を過ごすことができます。
また、八重山諸島の西表島には、日本最大のマングローブ林が広がっています。マングローブは、海水と淡水が混ざりあう川に生育する植物の総称で、西表島では日本に生育するマングローブ7種類すべてが見られます。見学コースにはクルーズ船ツアーやカヤックツアー、トレッキングツアーなどさまざまな種類があるので、自分の体力や好みに合うものを選んで参加しましょう。
多様な生物が暮らす自然豊かな島々
ヤンバルクイナをはじめ希少生物も多数
日本で唯一の亜熱帯地域である沖縄には、ここでしか出会えない生物がたくさん生息しています。中でも有名なのが、やんばるの森に暮らす「ヤンバルクイナ」。オレンジ色の長いくちばしを持ち、飛ばない鳥として知られています。またやんばるには、日本最大の甲虫「ヤンバルテナガコガネ」などの固有種も生息しています。
ほかにも沖縄県内には、西表島にのみ生息する「イリオモテヤマネコ」、石垣島と西表島に分布する「カンムリワシ」、南北大東島で見られる「ダイトウオオコウモリ」をはじめ、鳥類、哺乳類、は虫類、両生類、昆虫、甲殻類など、さまざまな希少生物が暮らしています。近年はこうした生物が車道に出てきて、車にぶつかる「ロードキル」も頻発しています。沖縄で車を運転するときには、希少生物への注意が必要です。
太陽の光を浴びて艶やかに咲く南国の花
デイゴやハイビスカスが咲き誇る
沖縄の南国イメージを華やかに彩るのが、島の各地で咲き誇る花々です。中でも沖縄を象徴する花が「デイゴ」。1972年の沖縄本土復帰県の年に、県花に指定されており、春から初夏にかけて赤い花を咲かせます。沖縄では「デイゴが咲き乱れる年は台風が多い」と言われています。
また、いかにも南国らしい花といえば「ハイビスカス」。沖縄のいたるところで見かけますが、その花は目を楽しませてくれるだけでなく、防風林の役割も果たしています。加えてブーゲンビリアも、南国ムード満点の花。といっても、赤紫の鮮やかな花のような部分は、実際は花ではなく、花を包む苞葉(ほうよう)です。そして夏の夜だけに花が咲き、朝には散ってしまう「サガリバナ」も、沖縄ならではの花のひとつ。西表島には川沿いに大規模な自生集落があり、開花期には船による観覧ツアーも行われています。
一方、花といえばお花見ですが、沖縄では1月下旬から2月中旬にかけてが桜のシーズン。沖縄の桜は「寒緋桜(カンヒザクラ)」という品種で、濃いピンク色が特徴です。
澄んだ空気の中に映える満天の星空
八重山諸島で南十字星に出合う
美しい海と白い砂浜で知られる沖縄ですが、海岸沿いや離島で夜に空を見上げると、満天の星を見ることができます。人工的な光が少なく、空気の澄んだエリアの多い沖縄は、星空観察にも最適の場所です。
中でもおすすめなのが、日本最南端の地である波照間島や、石垣島などを含む八重山諸島です。このあたりは緯度が低いため、12月から6月にかけて、北半球では見えにくい南十字星の全景を観望できます。石垣島では、毎年8月に「南の島の星まつり」が行われており、全島ライトダウンによる星空観察や、石垣島天文台でのイベントなどが楽しめます。
多様な生物が暮らす人類共通の遺産
世界自然遺産に登録されたやんばると西表島
「やんばる(山原)」と呼ばれる沖縄本島北部(国頭村・大宜味村・東村)と、八重山諸島の西表島は、奄美大島・徳之島とともに2021年7月、世界自然遺産に登録されました。
「世界自然遺産」とは、世界で唯一の価値を有する重要な地域として「世界遺産委員会」で認められた、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産のこと。今回登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、IUCN(国際自然保護連合)により、「顕著な普遍的価値を有する、地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地」と認められました。
やんばるエリアには亜熱帯照葉樹林が広がっており、深い森の中にヤンバルクイナやノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネなどの希少生物も含め、さまざまな動植物が暮らしています。また、西表島は島全体の約9割が亜熱帯の原生林に覆われた秘境の地で、日本最大級と言われるマングローブ林もあります。これらの地は今後、世界自然遺産として適切に保護・管理されなければなりません。現地を訪れる際は、自然や生態系に影響を与えないよう、一人ひとりの十分な配慮が必要です。
沖縄が世界に誇る宝、サンゴ礁
世界一サンゴの種類が豊富な沖縄の海
沖縄の海の大きな魅力のひとつとなっているのが、色鮮やかなサンゴと、サンゴが作り上げてきたサンゴ礁です。
サンゴは「刺胞(しほう)」という小さな毒針を持つ「刺胞動物」です。世界中の海に600~800種が生息すると考えられていますが、沖縄の海にはその半数以上、約380種類以上が住んでいることが確認されています。これは一か所あたりで見ると、世界最大の種類数。世界一サンゴの種類が豊富な沖縄の海は、まさに世界に誇るべき宝なのです。
そもそも沖縄を含む琉球列島は、地球上のサンゴ礁の分布から見ると北の端に位置します。通常、サンゴが発達するのは東南アジアなどの暖かい海に限られますが、琉球列島の海は透明度が高いことや、列島のそばを栄養分に富んだ黒潮が流れていることなどが影響し、多種類のサンゴが生育できる環境となっています。サンゴ礁は島々を取り巻く防波堤として陸地を守るだけでなく、多くの生き物たちの住処にもなっています。
しかし近年は地球温暖化などの影響により、海水温が上がってサンゴが死滅する「白化現象」が沖縄でも多発しています。サンゴが暮らす美しい海を守るためにも、日常から環境保護を考えた行動を心がけることが大切です。