中村家住宅(沖縄本島 北中城村)
18世紀中頃に建てられたとされる「中村家住宅」は、国の重要文化財にも指定されており、沖縄の住居建築を語る上で重要な役割を担っています。地頭代を務めた家柄の大きな屋敷で、士族の建築様式の中に農家ならではの形式を加えているのが大きな特徴です。
1,500㎡以上もの敷地の中には、住居の要となる「母屋(ウフヤー)」を中心に、役人の宿泊所となった「アシャギ(離れ)」や、農家らしさを伝える立派な「ネーヌヤー(家畜小屋兼納屋)」、「高倉(籾倉)」などが備えられています。
暮らしの拠点となる母屋の間取りは、一番座(客間)、二番座(仏間)、三番座(居間)と続き、伝統的な沖縄の家の様式にならっています。それぞれに寝室となる裏座も備えられているので、母屋だけでもかなりの広さ。「トゥングヮ」と呼ばれていた、当時の台所の様子もわかりやすく再現されています。
風情あふれるふくぎに囲まれた「中村家住宅」。
大きなヒンプンを回り込んで敷地内に入り、遠い昔から育まれてきた美しい景観を眺めていると、時が遡り、自分がいにしえの島人になったような、そんな不思議な気持ちに包まれます。