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沖縄の行事ごとに伝わる数多くの料理の中から、
一番なじみのある重箱料理の他に、
ウチナーンチュでも意外と知る機会の少ない、御願の際に必要な道具やお供え物を紹介します。
ウサンミとは、旧盆や清明祭(シーミー)、お彼岸などの行事や法事に欠かせない代表的な料理。
これは中国から伝わった神仏へのお供えで、「天・地・海」の食材を使った料理が正方形の重箱に詰められています。
料理は、カステラかまぼこや紅白かまぼこ、揚げ豆腐、天ぷら、田芋、昆布、ごぼう、こんにゃく、
皮付きの三枚肉の9品が基本。大根の煮つけや、白身魚の昆布巻きを代用する場合もあります。
お祝い事では豚肉の皮を下に向け、昆布は結びにするなど法事の飾り付けとは若干異なります。
重箱料理をお供えする場合、餅が二箱、料理が二箱をワンセット(チュクン、またはイッチイ)とし、
一組はご仏前に向けてお供え、もう一組は手前に並べます。
これは仏前あるいは墓庭で、ご先祖様と一緒に同じ料理を食べて供養するとの意味があります。
行事前になるとスーパーのお惣菜売り場などでも売られていますが、
ウサンミをおいしく作れてこそ女性は一人前」と手作りにこだわる家庭も!
餅重(ムチジュウ)
ムチジュウは、ウサンミと対で用意します。法事には白餅を使いますが、清明祭や正月、お彼岸など、行事の種類によっては、きなこ餅やよもぎ餅を入れる家庭も多いようです。餅の数は9個か15個が基本。2で割れない数字は縁起がいいと考え、餅の数を「法事は偶数、お祝いは奇数」と決めている地域や家庭もあります。
室内外の様々な御願の際に使う木箱をビンシーと呼びます。お線香などもしまえる引き出しや、
盃、米、塩などのお供え用の仕切りまでついている、持ち運びにとても便利なつくりです。
ただし、ビンシーはその家の実印とされているので、兄弟同士でも貸し借りは禁物。
ビンシーがない場合の御願は、ビンシーの中身を準備してお盆に並べ、仮ビンシーとして使います。
また、年三回、屋敷内を守る神様に感謝を捧げる「屋敷御願(ヤシチヌウグァン)」では、
ビンシー以外にも餅を三段重ねにした御茶の子(ウチャヌク)を三組、バナナ、リンゴ、みかんを盛ります。
下の写真は、ビンシーにセットする供え物の盃に健康長寿を願う菊の葉を浮かべたものです。
中身は御願の内容によって変わります。
御茶の子(ウチャヌク)
米粉と水を混ぜ合わせて蒸した、神仏に供えるお餅。大中小の三つの餅は天・地・海を意味してます。また、餅の白さは純白な心を意味しているほか、天を映す鏡の役割もあるとされています。ウチャヌクをタンナファークルーと呼ばれる黒糖、小麦粉、卵で作った伝統菓子で代用する地域もあります。
台所に祀られている家族の守り神。
かまどの火を根源としており、はるか琉球の時代から信仰され、そして親しまれてきました。
ヒヌカンを管理するのはその家の主婦と決まっており、
日頃から結婚や出産、進学、就職など家族の喜びごとを報告したり、家内安全や厄払いなどさまざまことを祈願します。
そして、毎月1日の新月は、神様が年に上って家族の日頃の行いを報告する日で、
15日の満月は日頃の行いが良ければ願いがかないやすくなる日とされ、
その両日はヒヌカンを掃除したあとにご飯(ウブク)を供えて祈願します。
一般的なヒヌカンの道具と供え物は下の写真の通りです。基本的に道具は白で統一しています。
御香炉(ウコール)
ウコールの灰がたまったら下から灰をすくい出し、別の容器に移します。そして、すくい取った灰に三本御香を立て「この御香に乗って本体へお戻りください」と祈願し、灰に宿る神様に移動してもらいます。分けた灰は魔除けになるとされ、塩や酒をまぶして門などにまくといいそうです。
沖縄独特のお線香。黒色で平たいその形状から、「ヒラウコー」や「黒ウコー」と呼ばれています。
お願いによって使用する線香の数が違うので、割りやすいように5本の筋が入っています。
紙銭(カビジン)とも呼び、あの世のお金とされています。
黄土色の半紙に銭型を押したもので、お盆やシーミーなどの際に燃やして祖先供養をします。最近はコンビニでも売られています。