- 沖縄の暮らしと行事のこと~旧暦を知る~
- 旧暦と沖縄の年中行事
- 旧暦行事カレンダー
- お供え物の基本
沖縄の旧暦行事は、時代の変化にあわせて少しだけ形を変え、暮らしの中に残っているものが数多くあります。
ここでは、いくつかの旧暦行事の成り立ちをひも解き、先人達の暮らしや精神性に触れてみます。
糸満ハーレー (提供:糸満市役所)
昔、玩具市で売られていた独特な色使いが目を引く琉球張り子。その技術は本土から伝わり、親が買い与える縁起物のおもちゃとして、明治から広く人々の間で親しまれていたそうです。しかし、昭和に入ると大量生産のおもちゃの出現により、琉球張り子は衰退の一途を辿ることになりました。
琉球張り子
左:チンビン(黒糖入りの沖縄風クレープ)
右:ポーポー
(薄焼きの皮で油みそを包んだもの)
現代によみがえった愛らしい琉球張り子
那覇市牧志にお店を構える豊永盛人さんは「ユッカヌヒー」の心を受け継ぎ、琉球張り子を復元したアーティストのひとり。彼の作る作品は、古典的な琉球張り子と現代的な創作張り子があり、工芸品や大人のための玩具として県内外から注目を集め、親しまれています。また、豊永さんは2004年からアーティスト仲間と一緒に、旧暦の5月4日を挟んだ日程で、ユッカヌヒーにちなんだ「ユッカヌヒーアート展」を毎年開催。作品を作る側も見る側も楽しもうというテーマで多彩な作品を展示しており、一部の作品は自由に手で触れて遊ぶこともできます。
玩具Road Works
住所/沖縄県那覇市牧志3-6-2 1F TEL/098-988-1439
URL/http://toy-roadworks.com/
県内各地で行われる綱引きは、大きく分けて稲の収穫を祝う「6月ウマチー」前後に引く綱と、旧暦8月15日に引く綱があります。有名なところでは、与那原町の大綱曳き(旧暦6月)、糸満大綱引き(旧暦8月)があります。那覇大綱挽きは、那覇まつりの一環として新暦の10月10日前後に行われます。大綱引きとは、雄綱と雌綱をつなぎ合わせ、収穫感謝祭や来年の豊作、無病息災などの願いを込めて綱を引き合う伝統行事。勝負によって吉凶を占う年占い的な要素もあり、綱を引く人達の顔は真剣そのものです。また、綱引きのほかに、相手方のペースを崩すために威嚇し合うガーエー合戦や棒術、道ジュネー(パレード)、シタク(仮装して綱の上に乗る人達)など見どころ満載です。
糸満大綱引きの大綱
(提供:糸満市役所)
ガーエー合戦
(提供:糸満市役所)
糸満大綱引き
(提供:糸満市役所)
綱引きの由来
綱ひきの由来について、様々な話が伝わっていますが、与那原町の大綱曳きでは、『不作続きの上に害虫が発生し飢えに苦しんでいた年に、老人から村中総出で太鼓を打ち鳴らして威勢よく綱を引くように言われ、それに従ったところ稲についた害虫は驚いて水田に落ち豊作になった』とあり、豊年祈願や災厄払いのための行事として受け継がれてきたことが伺えます。一方、那覇大綱挽は意味合いが異なり、琉球王国時代、交易で栄えた当時の那覇市民を発揚する行事として成立したものと言われています。
旧暦4月
旧暦4月14~15日畦払い(アブシバレー)
田畑に害虫が増えるこの時期に行う虫払い行事。村人総出で畦道の草を刈って害虫を集め、海に流したそうです。害虫対策のなかった時代の農民の切実な願いをこめた伝統行事のひとつです。
旧暦5月
旧暦5月4日四日の日(ユッカヌヒー)
四日の日(ユッカヌヒー)には、豊漁と海の安全を祈願する爬龍船競争(ハーリー)があり、今も各地の漁村で盛んに行われています。この日に子供たちにおもちゃ買い与える慣わしもありました。
旧暦5月5日五月五日(グングヮチグニチ)
端午の節句に本土で邪気払いとして使われる菖蒲の葉を、沖縄ではスプーン代りにしてアマガシと一緒に仏壇や火の神(ヒヌカン)に供えます。健康と安全を祈願し、農作業の繁忙期に備えたといいます。
旧暦5月15日五月ウマチー
稲の初穂を供えて豊作を祈願する日。古くは琉球王府が吉日を選んで村々に行わせていました。集落の行事として、現在も継承している地域が数多く残っています。
旧暦6月
旧暦6月15日六月ウマチー
稲の収穫祭。豊作に感謝し村や門中の繁栄を祈願します。この頃までには、山や海への出入りを一定期間禁じる「山留・海留」の物忌みが解かれ、綱引きを行う地域もあります。
旧暦6月25日六月カシチー
カシチーとはおこわのことで、この日は新米(ミーメー)でカシチーを炊き、祖先と火の神(ヒヌカン)に収穫の報告と感謝を表します。農作業が一段落する頃、各地で盛大な豊年祭や綱引きが行われます。
旧暦6月1日~29日プーリィ(国選定無形民俗文化財)
八重山諸島の一部地域で行われる収穫祭。来訪神クロマタやアカマタと共に今年の収穫に対して感謝し、来年の収穫を祈願します。