航海安全を願う勇壮な「ハーリー」競漕
その始まりは、いまから約600年前の琉球王朝時代に中国から伝えられたという「ハーリー」。
鮮やかな装飾が特徴の爬龍船(はりゅうせん)に2列になって乗り込み、その速さを競います。琉球王府の大々的なイベントであったためすぐに本島各地へと広まり、糸満の漁師たちによって八重山諸島や宮古諸島へと広まったそう。
航海安全や豊漁、無病息災を祈願する沖縄の漁師文化として、いまも脈々とその文化は息づいているのです。
沖縄ではハーリーの鐘が響けば梅雨が明け、本格的な夏が始まるといわれています。
真っ青な海を裂くようにして力強く進む爬龍船と、バーランクーや笛を鳴らして応援する観客たち。
待ち焦がれた夏を思いっきり体で味わうように、港は大にぎわいになるのです。
特に大規模に開催されるのが「那覇ハーリー」。GW期間中の開催ということもあって、毎年20万人以上が観戦していると言われています。また、漁業が盛んで漁師町と言われる糸満もハーリーが人気で「糸満ハーレー」と言います。那覇ハーリーを皮切りに、「奥武島海神祭」や、前兼久、阿波連、港川など8月頃まで各地でハーリーが開催されます。
さて、ハーリーと言っても、実は内容はさまざま。
航海安全・大漁祈願する「御願(うがん)バーリー」だけでなく、職業別に対抗戦を行う「職域ハーリー」、女性だけの「マドンナハーリー」、転覆させた後にもとどおりにしてレースを続ける「転覆ハーリー」などなど。
イベントによっては観光客でも乗船体験ができるものもあるので、ぜひ体験してみてくださいね。
厳かに祖先をお迎えする「エイサー」
旧盆のころ、どこからともなくどんどんと太鼓の音が聞こえる。
それがだんだん近づいてきて、エイサーを踊る若者たちの姿が見えて来る。それが、地域の道を踊りながら練り歩く「道ジュネー」です。
エイサーの起源は諸説ありますが、400~500年前からあるとする説が一般的なようです。
ともかく、長きにわたって愛されてきた、あの世から帰ってきた祖先を送る、盆の踊りのことです。
エイサーの魅力はそのソウルフルな演舞に加え、各地域(字)の青年会がしっかりと技を引き継ぎ、各々の踊りの型を守っていること。現在の主流となっているのはバーランクーと呼ばれる太鼓を叩く「太鼓エイサー」、ほかに手踊のみのエイサーなど、地域ごとに特色があるのです。
本来は旧盆に行われる伝統行事ですが、6月から9月ころになると各地でたくさんのイベントが開催されます。
青年団が主催する地域のエイサーから、那覇の国際通りで行われる「1万人のエイサー踊り隊」、全島から踊り手たちが集まる「全島エイサー祭り」など、毎週のように各地でエイサーを見ることができます。
なかでもエイサーが盛んな沖縄市で開催される「全島エイサー祭り」は、3日間で30万人が訪れるそうで、道ジュネーや各地の青年団のエイサー、創作エイサーなど、余すところなくエイサーの魅力を体感できるおすすめのイベントです。
全長200m、総重量43トンの大綱挽き!
国際通りが大綱と大勢の人で埋め尽くされる、沖縄でも最大級の伝統文化行事のひとつが那覇大綱挽。
琉球王朝時代の那覇四町綱の伝統を引き継ぐもので、一時は途絶えたものの、1971年に那覇市の市政50周年記念事業として復活。それ依頼、年々規模を拡大しています。
大綱挽は2本の綱の先に作られた輪をカチナ棒で結合させ、東側の雄綱と西側の雌綱が引き合います。
旧暦の6月〜8月(新暦の7月から9月)にかけて開催され、稲作のための雨乞いや五穀豊穣などが祈願されます。
最大規模の那覇大綱挽のほか、中秋の名月に行われる糸満大綱引や、与那原綱曳まつりなどがあります。
旗頭の温度に合わせて引き合う様子は、見ているだけでもおもわず力がこもってしまう迫力。
勝敗で吉凶を占った後は、切り取った手綱を持って帰ることができるので、ご利益をおすそ分けしてもらうのも良いですね。