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一生ものの器を求めて
やちむんをめぐる旅

セレクトショップや、ときには窯元にも足を運んで、一生ものの器をひとつひとつ吟味し集める。
旅先で出会った器は、その時の思い出といっしょに特別なものになり、私の人生の大切なパートナーになってきた。
沖縄の言葉で「焼き物」を意味する〝やちむん〟も、いつかは実際に沖縄に行って自分だけのお気に入りを見つけたい、と思っていたところ。
初めての沖縄。初めてのやちむんめぐり。
器へのいとおしさ、奥深さを実感できる旅が実現した。

01

伝統の柄や技法をアレンジした
現代の暮らしに合うやちむんに出会う

石畳や石垣、赤瓦の屋根など昔ながらの沖縄の面影を残す壺屋やちむん通り。やちむんの窯元がたくさん集まっているこの通りで見つけたセレクトショップが、「ヤッチとムーン」だった。

民家をリノベーションした店内に入れば、沖縄各地のやちむんが集まる宝箱のよう。ぽってりとした厚みのある形、力強い絵付け。それらの特徴を備えた器を手に取り眺め、改めて「やちむん」という愛らしい響きがぴったりだと微笑ましく感じた。
お店の一角にはテーブルコーディネートされた空間もあって、やちむんを暮らしに取り入れるヒントを教えてもらえた。

お店の方によると、やちむんは琉球王朝時代までさかのぼる歴史ある工芸品で、線彫りやイッチンなどの伝統的な技法や柄があるとのこと。「ヤッチとムーン」では、これらをアレンジしてモダンに仕上げたやちむんにも出会うことができる。

飴釉(あめゆう。器に塗る釉薬)とコバルトの色の配置を変えた皿や、沖縄の海の色を感じさせるマグカップなど、伝統を大切にしながらもオリジナリティあふれる器たち。見るほどに恋に落ちていく。よし! このやちむんたちをお家に連れて帰ろうと決めた。

  • Craft・Gift ヤッチとムーン

    住所:沖縄県那覇市壺屋1-21-9
    電話番号:098-988-9639
    営業時間:10:00~19:00
    休業日:無休
    アクセス:那覇空港から車(一般道)で約20分
         沖縄自動車道:那覇ICから車(一般道)で約20分
         路線バス:壺屋バス停から徒歩で約3分

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02

古民家風の琉球料理店で
やちむんに盛られた郷土料理を味わう

さっそくお気に入りの器に出会えて、ウキウキしながら歩いていると、壺屋やちむん通りから路地に入った場所に、古民家風の琉球料理店を発見した。

暖簾をくぐると、そこには地元の人の家を訪れたような落ち着きのある空間が広がっていた。窓の向こうに国の重要文化財だという東ヌ(あがりぬ)窯の景色が見えた。
ちょうどランチ時なので「ぬちがふぅ御膳」を注文。やちむんに盛り付けた郷土料理がお膳いっぱいに並び、胸が高鳴る。

沖縄でお碗を意味するマカイには黒米入りのごはん、魚を絵付けした鉢にはキビまる豚の本ソーキと琉香豚のラフテー、唐草模様を施したマカイには白味噌仕立てのおつゆ、いなむどぅち。やちむんと沖縄食材の料理が、見事に調和してお互いを引き立てあっている。手に伝わる器の温もりに幸せを感じながら食事をしていると、窓の向こうの石垣を歩く猫と目が合って、さらにほっこり。

食後は、沖縄伝統のぶくぶく茶を体験。マカイを覆う泡の山に驚きながら、香ばしい玄米茶を味わう。やちむんに盛られた本場の琉球料理に心もお腹もすっかり満たされた。

  • 琉球料理 ぬちがふぅ

    住所:沖縄県那覇市壺屋1-28-3
    電話番号:098-861-2952
    営業時間:ランチ11:00~14:00、アフタヌーンティータイム14:00~17:00、ディナー17:00~22:00(最終入店20:00、ディナーは前日までの完全予約制)
    休業日:月曜
    アクセス:那覇空港から車(一般道)で約20分
         沖縄自動車道:那覇ICから車(一般道)で約20分
         路線バス:壺屋バス停から徒歩で約3分

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03

やちむんの生まれる里で
素朴な味わいの器を手に入れる

窯元にも行ってみたい!
やちむんへの想いが募って、読谷村にある「やちむんの里」へ足を延ばした。ここは北窯や読谷山(ゆんたんざ)窯をはじめ、19の窯元が集まる陶芸の里。器好きの聖地のような場所だ。

敷地に入ると、赤瓦の屋根に覆われた登り窯が目に入ってきた。1980年に築窯したという読谷山焼共同窯。その隣にあるのが松田米司窯で、北窯の4人の親方のひとりである松田米司さんの姿を庭先で見つけ、お話ができた。沖縄に来る前から、その美しい器のたたずまいが大好きで、憧れだったつくり手の方だ。
お話を聞く中、「息子がやちむんの醍醐味を理解してくれて跡を継いでくれることに。これでこの先も、県内外にやちむんの魅力を伝えられるので良かった」という米司さんの言葉に、次の世代にもやちむん文化をしっかり受け継いでいこうとする手仕事への想いを垣間見れたような気がした。

米司さんとお別れした後、ウキウキしながら北窯共同売店へ。
琉球王朝時代に水差しとしてつくられた陶器の按瓶(あんびん)、注ぎ口の細い泡盛の酒器であるカラカラ、泡盛を入れる携帯用容器だった抱瓶(だちびん)などが並ぶ。迷ったあげく、これだ、と思った豆皿を選んで購入することに。
いろいろなつくり手の想いが詰まったこのやちむん。おうちに連れて帰ったらどんな風に使っていこうかな、と我が家のお気に入りたちとの組み合わせをいろいろと思い浮かべながら売店を後にした。

  • やちむんの里

    住所:沖縄県中頭郡読谷村座喜味2653-1
    電話番号:098-958-6488(北窯共同売店)
    営業時間:各工房により異なる。北窯共同売店は9:30〜17:30(13:00〜14:00は中休み)
    休業日:各工房により異なる。北窯共同売店は不定休(訪問前に要確認)
    アクセス:那覇空港から車(一般道)で約1時間10分
         沖縄自動車道:沖縄南ICから車(一般道)で約30分
         路線バス:親志バス停から徒歩で約15分

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掲載日:
2019.10.30

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